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あまりにも多くの方の命を奪い、
それまでは当たり前だった「仕事」を「家族」を「暮らし」を奪っていった大津波。
震災から1週間後、被災地を目の当たりにしたとき、何の感情も生れませんでした。

何も浮かばない。言葉も感情もなにも浮かばない。涙すら出ない。
それが最初でした。

そして、震災からちょうど1ヶ月目の2011年4月11日。
私は、山田町で一人のシンガーソングライターに出会いました。
松本哲也、後にこの映画の中心人物となる男です。

瓦礫だらけの町の片隅で、彼が仲間たちと作り上げた
エンタテインメント一体型炊き出しキャラバン「いわて三陸復興食堂」。
そこで生まれていたもの、
それは、夢と希望を明日へとつなぐ多くの「笑顔」でした。

彼らは、何をなそうとしているのか・・・。
そして、町はどう変わっていくのか・・・。

今思えば、ただこの目で確かめたかっただけかもしれません。
これが、絶望でも終わりでもなく、始まりなのだということを・・・。

およそ2年間にわたる取材の中で、本当に多くの方々にご協力いただきました。
そして、その多くの方が例外なく口にする言葉、それは、「ありがとうを伝えたい。」

この映画を全国、全世界の皆さんにご覧いただき、
彼らの前を向いて奮闘する姿に、復興への希望や期待を感じていただくことが
多くの支援に対する彼らのアンサーになると考え、
全国キャラバンというスタイルで上映することに決めました。
復興への長い長い道のりの中で、「伝えること」で被災地のみんなの力になりたいと考えています。

一人でも多くの方に見ていただきたい。
彼らの生きている証を。
そして、考えていただきたい。
生きることの素晴らしさを。

震災といえば、悲しくて切ない映像が世の中にあふれています。
不謹慎かもしれませんが、この映画はそれらから全く真逆の位置にあるものです。
もちろん被災地には今でも多くの悲しみや辛さがあります。
けど、それ以上に前を向いて歩いていく、勇気と希望、そして笑顔にあふれています。
私がつくりたかったのは、そういう悲しみや絶望だけじゃない被災地のありのままを伝えられる作品です。
いわば、誤解を恐れずに言うなら、最も「ハッピー」な震災映画です。

最後に、ご出演いただいた多くの皆様と、
ご支援いただいた全国の皆様へ心から御礼申し上げます。
引き続き、沿岸被災地の復興ならびに本映画キャラバンへの
ご支援、応援の程、よろしくお願いいたします。


映画「僕らはココで生きていく」
監督 下山和也